日記

いわゆるオタクの趣味語り日記。百合とラノベが主食ですが無節操。書痴。偏愛に妄想、ネタバレや特殊嗜好まで垂れ流してますご注意。 本家は二次創作サイト。

甘々のはずだったんだけどなー……。

あ、江利子と蓉子です。

一応江蓉だけど……相変わらず。

くすくすとこどもみたいに笑う蓉子が、私は一番好きかもしれない。信じられないほどの無邪気さが覗く、幼い表情。笑うこと自体中々してくれない、だからだろうか。

そもそも泣き顔も苦痛に耐える姿ももう見飽きてしまったのだ。儚い微笑みの奥では、鋭い爪が引っ掻き回していた。気丈にあろうとして私の手を握りしめる、その繋がりはけして外から分かりはしない。隠すことばかりうまくなって、うまくなったようでいて、精神を削り続けている彼女。蓉子の震えは指の先から伝わってくる。

つまらない日常の内で覚えている話をする。静かになるとすぐ沈鬱な表情になるから、私には有り得ないくらいの饒舌さで話しかける。手を動かしながら、それは鉛筆を握っている時も蓉子の髪を梳いている時もあるが、とにかく。一番喜ばせるのは思い出話だと知っているけれど、過去には限りがあるから、そういつも使ってはいられない。そうね、と顔をほころばせる、その瞬間を写しとれたら、と画用紙に蓉子の黒い線を増やしながら。でも私だけのものでいい、とも思うのだ。現状を慰めながら、現状に僅かな満足感を抱いている私。

今日はレポートがあるから、と机に向かう彼女の髪を弄んで。仕方ないわね、と抱きつかれふわ、と笑う、そのあどけなさが。私を柄にもなく優しくさせるのだ。どうせろくに進んでなかったじゃない、とは心の中だけの呟き。口実を必要とする彼女の後押しをして、擦り寄ってくる体躯を縫い止める。くすぐったさに楽しげな声をあげるから、幸せなのだろうと勘違いしてしまいそうになる。蓉子にとっては夢の世界なのだ。甘いお菓子を頬張って、思うままに振る舞って。大人になれば、現実の幸福を得れば忘れてしまう、束の間の楽園。あの、乙女の園とさえ揶揄される母校にも似た。

疲れた心を休めたくて、縋ってこられるのが、嫌な訳じゃない。彼女か彼女のいる空間が描かれたスケッチブックばかりがたまっていくのも、とっくに受け入れている。蓉子が声をあげて笑うのがリリアンの、特に山百合会時代の話題ばかりなのは、少し悔しいけれど、それすらももう。

どちらが先に、諦めるのかしら?

どちらの代償が先に駄目になるのか、と、無邪気なだけの微笑みを前にして、額に唇をつけながら。壊れない程度に抱きしめる、腕の中の蓉子に囁きかけてみる。訝しげな視線、よりはきょとんとした顔つきを。笑顔に近い笑顔を、どうか、私に。

昔佐藤視点でもやりましたが。片思いの蓉子って、あんまり笑わない印象があります。紅薔薇さまとして笑顔で脅迫、も彼女の素質ですが私には書けません(笑)。

まあ蓉子は愛されてるって話です。いたたまれなくなって、壊してしまおうとするのが聖で、溺れさせて甘やかすのが江利子。

……ああ、なるほど(ぇ)。