窓の外
〈見つめる〉1/5
放っとくと夏が終わってしまうことに今更ながらに気づきました。
今回はあんまりテーマを決めずに気ままにやっていきます。聖蓉です。
日々はただ、ぱたりぱたりと過ぎて行く。
「いつまで居座るつもり?」
「どうしようかな」
詰問に気のない返事。自堕落な野良猫のようだと自分で思う。媚びて、ねだって、構われて手の平を返す。けして懐かない。愛されるけど、愛はあげない。
「いい加減にしっかりしなさいよ」
「蓉子がしっかりしてるからね、大丈夫なの」
お説教は右から左へ。ちゃんと私の身体を通ってはいる、痕跡だってきっとある。うまく作用しないだけ。私の面の皮が厚すぎるだけ。
「私が駄目になったら、あなたがしっかりしてくれるの?」
「そしたら他の人のとこ行く」
蓉子の面倒なんかみられないよ。自分ひとりの世話すら満足にはできないのに。
「……もう」
束の間の沈黙は重く、けれど蓉子は束の間だけでそれを切り上げる。見事な手腕。蓉子にだけ刺さる現実の厳しさ。
「ごめんね」
最低の親友で。
だけど蓉子にだけは取り繕わないから。頼って縋って寄りかかって、ここまで甘えるのは蓉子にだけだから。
……本当は、別れた方がいいんだろうな。
外では風がびゅうびゅうと吹いていた。ガラス張りの向こうで、冷たい現実が私たちを待ち受けている。世の中って奴を知らしめようとしている。
「……もう行くわ」
蓉子だけを送り出す、蓉子に守られたままの、駄目な親友。恋人にもならない。蓉子の気持ちだけは手にいれたまま。
「ん、行ってらっしゃい」
……さよならをするには、私はちょっと、弱くなりすぎたよ。