日記

いわゆるオタクの趣味語り日記。百合とラノベが主食ですが無節操。書痴。偏愛に妄想、ネタバレや特殊嗜好まで垂れ流してますご注意。 本家は二次創作サイト。

(no subject)

蓉子が出ていった。

多分これは私が頭を冷やす時間を作るためで、蓉子が考える時間を作るため。意識して静かに閉めた、っていうのが分かる音だけを残して彼女は姿を消す。振られたなんて思って無い、手放すつもりも毛頭無い。それでもたまに巻き起こる口論は、甘えと依存の境界を蓉子がしっかり知っているから。でも彼女は自分に厳しいから。私へのものと、自分へのもの、ふたつの線はずれている。私はそれに確かに助かっているというのに。

……はあ。

大人気ない自分にため息。謝る言葉しか思いつかないけれど、それじゃ結局何も変わらないんだ。抱きしめてごめんって言えば彼女は許してくれるだろうけど、でも。

切り忘れた換気扇の唸る音の中、自分の呼吸だけが喧しい。与えられた猶予の中で私が出す答えは、それでも結局いつもと同じもの。

立ち上る気まずさに加えて浮かぶ笑みのせいで、多分私の顔はおかしなことになっている。

予感がする。蓉子が帰ってくる予感。この感覚は正確で、だから私はいつも少しだけ焦ってしまうのだ。変わりたい。変われない。真摯な癖にどこか危なさを残した謝罪は、彼女だけのためのもの。それでいいわと笑う蓉子に、私はいつだって。

嗚呼これは依存なんだろうか。それとも甘えにしてくれるのだろうか。

そっと蓉子に問いかける。

かしゃりと開く音がした。手持ち無沙汰な指先は、もう彼女を抱きしめることばかりを考えていて。時間をおいた反省は、もうしっかり私の中に沈んでいる。

いつの間にか真っ直ぐになった感情は、言葉になって蓉子の元へと向かっていった。