(no subject)
江志のつづき。
あいかわらず電波。
お姉さまより、ですか
蓉子のことよ?
この重苦しい空気と、志摩子に自分。
冷静に見つめられる余裕は皮肉に過ぎない。いっぱいいっぱいな志摩子を、いっそ見守る心地で、私は彼女の心音を聞いている。
……わかってます
ごまかさないでください、と呟く志摩子に、ごまかしてないわ、と囁き返す。陳腐な応酬。くだらないと切って捨てたら、そこでおしまいになるだけの。
この場を見られたら怒られるだろうな、と思う。誰に見られても。私が糾弾され志摩子は同情される。
同じ情などもたないくせに。
ごめんなさい、
もういいです、と言いかけたのを知っている。
謝ることで志摩子が楽になるなら、それでいいのだ。
江利子さまじゃなくてもよかったんです
私でもよかったならいいじゃない
なぜこの年頃の子は必然を求めるのだろう。
一年と少し前と、ちょうど二年前を思い返し、性格でも性癖でもなく年齢で彼女たちをカテゴライズして、少しばかりの憐れみを無責任に注ぐ。
たまにはその囲いの中に私自身も入れたくなったのだ。
ああでもこれじゃ聖も入っちゃうわね。
声には出さなかったはずなのに志摩子がぱっと顔をあげた。