日記

いわゆるオタクの趣味語り日記。百合とラノベが主食ですが無節操。書痴。偏愛に妄想、ネタバレや特殊嗜好まで垂れ流してますご注意。 本家は二次創作サイト。

現白ー。

おまけ3……だったはずが何か続きを書かなきゃいけない雰囲気になってきたな……。

ヤンデレ話とかにもそろそろカタをつけたいんだけどな。傑作の構想より完結した凡作の方がよほど価値があると頭ではわかっています。

(グッドオールドディズ2/乃志)

唐突に降ってくる穏やかな言葉に、さざめいた現実とやらは少しずつ変化していってしまうのだ。まだまだ新米姉妹かつ恋人の私たちの間では。

「今度、出掛けてくるわね」

「え?」

気をつけていないとふたりともつい部屋に籠りがちになってしまうから、となにやらよくわからないアドバイスを祐巳さまたちから受けて、近所の緑化道路をのんびりと散歩していた。この選択からが既にして普通の高校生のデートから逸脱しているだろうが、まあ、出掛ける先は宗教建築ばかり、な私たちの普通からもずれていたし、おふたりの希望には添えていると思う。要は私たちが何もしなかったせいで祐巳さまが由乃さまに八つ当たりされる事態を回避すれば良いのである。それが呆れて脱力された結果の産物であろうと何も問題はない。

「なんか曖昧な申し出だね」

「実際曖昧なのよ、まだ日時も決まってないの」

困ったように笑ってみせる志摩子さんは、一方でとても嬉しそうだった。志摩子さんが感情豊かになったのか、私の志摩子さんへの理解力が向上したのか、はわからないけれど最近私たちはまたちょっとだけ歩み寄りを深めたと思う。でもこんな顔は初めて見る。

「なんで私に言うの?」

「乃梨子には言っておいた方が良いと思ったから」

すくん、と胸に一本立った何かを考えないようにして、だけど素直に尋ねてみる。間違いなく嫉妬に分類されるはずの対抗心は、事前にあっさりと伝えられていることで得られる優越と相まって、なんだかおかしなことになっている。たとえば私がこんな風になってその申し出を承諾せざるを得ないとか、そういうことを志摩子さんは計算する人じゃない。後ろ暗い打算は志摩子さんには似合わない。

「答えになってないよ、志摩子さん」

「そうね、ごめんなさい」

……このごめんなさいは、志摩子さんには珍しいくらい浅瀬だなあ。

最も、最後の審判の結果を告げるかのように沈鬱に謝られるよりはよっぽどマシだ。志摩子さんなら想像出来かねないわけじゃないところが怖い。そんな深刻な謝罪をさせてしまう原因には思い当たりがないのは、きっと、幸せなことなのだろう。そう自分を納得させた私を数歩分置き去りにして、志摩子さんは立ち止まった。

「昔、とてもお世話になった人」

桜色の唇からこぼれ出たその名前は、すぐには志摩子さんとの繋がりが思い出せないくらい縁遠い(と私は思っていた)人で。やっぱり曖昧なままの説明に、尋ねたいことはいっぱいあったけれど私はとても頑張ってそれらの疑問を全部飲み込んだ。

一度も誤魔化す素振りを見せなかった志摩子さんの頬は、うっすらとはにかむように上気していて、その可愛らしい表情のままで、終わったら皆話してあげる、と約束してくれたのだから。