刹那、恒久
相変わらずのバカップル。いやですもう何も考えたくありません……って西尾維新でしたっけ。不健康ですがえろいかと言われると首を傾げざるをえないいつものクオリティ。こっ恥ずかしさは5割増。
「……ふ、ああ…」
「…蓉子、蓉子っ」
しがみつくあなた。腕が絡みつく。身体どうしを擦りつけるように、無茶苦茶に全身を押しつけてくる。体重を越えた重圧がかかる、苦しいはずなのに、はっきりと狙った刺激は与えられていないのに、甘い声しか漏れなくて恥ずかしい。鈍く重い熱がまわる。思考を鈍らせ四肢に鎖を繋ぐ。愛情という名前で。
「好き、だよ…っ…」
「んん……っ」
割り込まれた膝に押し上げられて跳ねる私。あなたに留められたまま、懸命にもがき手を伸ばす。あなたに囚われるとあなたから遠ざかる矛盾。迫ってくる感覚に悶え聖を呼ぼうとする。あなたを受け入れるとあなたがわからなくなる。苦しいのに怖いのに気持ちよくて満たされて。
「…蓉子!」
愛して、と懇願される、声の響き。どこまで響けば気が済むのか、ぐわんぐわんと私を揺する。渦を巻き錐揉みし弄ばれる。あなたにされるけど、あなたはしていない。
ふたりしかいない世界、更に飛ばされ、互いに夢中にしがみついて。
「聖っ……!」
滑らかな肌の感触の代わりに繊細な指の踊り。意味を持たない反復と衝動で襲いかかる強烈な快感。ねえどうしてあなたと私は。肉体も精神も境目が曖昧になるのにあなたの存在を鮮明に感じる。混ざりあい溶け込みどろどろになりながら聖を欲しがる。理論も秩序も思考も歪み破壊され解き放たれてひとつになって。ああそれなのに私たちはどこまでもふたりで。
突き抜けた衝撃が悲鳴にもならずにあなたに届く。息を詰め背を逸らすことで愛を叫び結びつく。原始の欲求。今この時のためだけの快楽。
「よーこ……っ」
あなたを胎内にいだきながらあなたを素肌越しに抱きしめながら。私はあなたにしがみついて縛りつける。私を愛して、もらう、ために。