(no subject)
バカップル生活。
表紙買いした小説(同人誌/表紙自体は水彩の風景画)が素晴らしくて久々に勝利。普段あまり買わないジャンルかつCP(マリみてだと聖景くらい?)でしたが作者買いしそうな予感(笑)。いたいけな主人も面白いし友人に色々借りてるし、最近活字的に幸せです。
膝を抱えてテレビを眺めてたら足の爪がひとつ変色してた。
「……うわあ」
ちっちゃい爪の真ん中くらいに白い線が入って、そこから上が小豆色になっている。自分の足で胸とお腹を圧迫したまま、思わずじっくりと観察してしまった。よく今まで自分は気づかなかったものだ。それとも最近ついどっかにぶつけてたとか? それにしても痛くないなあ。
つんつん、とつついて、それからぎゅうと押してみて。なんか痛いけどこれは内出血とは無関係な痛みの気もする。試しに隣の指も指圧。うーんとか唸りながら二本を交互に、とか段々何が目的なんだかわからなくなってきたところで照明が翳る。
「……何やってるの?」
ほかほかの蓉子からは森の香りと称すらしい入浴剤の匂いがする。ソファに乗ったお尻の位置をずらすと素直に右側が埋まった。匂いが強くなる。湿った黒髪に頭と鼻先を突っ込みたい、なんて思う。
「ねぇ、面白くない?」
ぴこぴこと左足の指を動かしてみる。足の指を一本だけ動かすのって難しいな、ああ親指なら簡単か。薬指を主張するために試行錯誤してたらちょっとだけつりそうになった。蓉子のため息は多分その馬鹿さに対してじゃないけれど。
「痛くないの?」
「ちょっと痛い……かも」
「だったら何でやるのよ」
はて、何でだろう。ぴこぴこ、を止めて考えながら本能に敗れて蓉子の髪に手を伸ばす。たぶん、特に意味なんてなかった、が正解だけど、それじゃあ余りにつまらないし。顔を近づけると蓉子の目線は件の指に固定される。触られるのが恥ずかしいっていうより、こういういちゃつきに慣れてきた自分を恥ずかしがってる蓉子は、ただじっと私の手先に足先に神経を集中させている。見られて、触れて。触られて、見つめて。一瞬迷った後、髪に埋めた手で引き寄せればお互いに密着。
「蓉子に馬鹿ねって、言われたかったから?」
「……ばかね」
蓉子の指が触れた赤紫色の爪と皮膚は、痛くないのに、じん、と疼いた。気をつけなさいよ、とお決まりの台詞、適度に軽い私の返事。ついでにぴこりと動かしたら、大したことはないと判断したのか軽く弾かれた。
……今度はちょっと、痛かった。