日記

いわゆるオタクの趣味語り日記。百合とラノベが主食ですが無節操。書痴。偏愛に妄想、ネタバレや特殊嗜好まで垂れ流してますご注意。 本家は二次創作サイト。

星は歌う、買おうかなあ。

おかえりなさいませ晶さま。……こんなところですみません。

せっかくなので令×蓉子(笑)。ふたりとも性格の中心が基本「優しい」だから甘くラブくなるかなと思ったのにどうして黄紅ってばこう不倫くさく……orz

黄 昏 の 前 に

「すみません、夕御飯、作りに帰らなきゃ」

「ん、そうね」

残念そうな顔をほんの一瞬浮かべ、それから私に罪悪感を抱かせないようにすぐに消し去る、蓉子さまはどこまでも優しい。

蓉子さまが感情の波をごまかそうとすればするほど、私はなんとかしてその端を掴もうとする。たぶんお互いに気づいてる追いかけっこをやめられないのは、お互いを思う故だからって知っているのと、お互いを思う故にどうしようもならない自分の気持ちがあるから。

「今度、一緒につくりましょうか」

「はい!」

夕食を共にするというただそれだけのためにさえ約束が必要な私たちを夕陽は容赦無く照らし出す。金色に塗れた蓉子さまの横顔はとても美しかった。触れるのを躊躇しそうなほど。

元からそんな勇気は無かった私は、曖昧にごまかしの笑みを浮かべる。訝しげな蓉子さまの視線はすぐに、仕方ないわね、という甘い笑顔になる。私は何でも許されてしまう。あたたかい蓉子さまは、例え私が傍若無人に振る舞ったとしても、優しく諌めて、それから受け入れてくれるのだろう。とろとろに溶かされそうで、一種の不安すら覚える、蓉子さまの愛。

「好きよ、令」

「私もです」

愛してると自分からは言ってくれない蓉子さまは、玄関先で私を捉え軽いキスをする。伸び上がってつま先立ちになった肢体が、綺麗で、私は目を閉じることもできないままその名残惜しい愛を受け止める。令から言って? と甘えるようにねだられた、恥ずかしいくらいストレートな愛の言葉。今口にしたら抑えがきかなくなりそうだから、代わりに私は髪を掻き乱すように抱きしめて。

「……それじゃ」

「ええ」

笑顔に溶ける切なさは、見ないふりをするのがきっと正しくて。もう一度抱きしめたい、腕を押さえつけて私は頭を下げて手を振ってそして扉をかしゃりと閉める。私がいた場所にこれからひとり残る蓉子さまに、終わりの儀式をさせるのは酷だから。傾いた陽に照らされたコンクリートの上を歩いて蓉子さまから遠ざかって行く。

たぶんあの窓から見ているんだろうな、と思いだけを抱えて、私からは振り向かないまま、まっすぐに。