(no subject)
懲りずに続き。ひたすらいちゃつかせるSSのつもりだったのに……あれ……?
大学のレポートの期限とかよくわかりませんが無事進学した友人たちはテスト週間真っ盛りでとても聞ける雰囲気じゃ……orz
「これでいー?」
「……あなたね」
「じゃ、こっち?」
「……だからどうして朝からおどろおどろしいホラーを聞かなきゃならないのよ」
適当にまとめてダウンロードした映画のサントラを片っ端から流す。覚えてる最近のタイトルっていうのがたまたまちょっとスプラッタ入ってるのが多かった、ってだけなんだけど。だったら蓉子が選んでくれれば良いじゃない。
……なんて八つ当たりめいて思ったけど、それ結構名案かも。
「えーじゃあ蓉子はどんなんが良いの?」
モットーは思い立ったが吉日。
そのせいで蓉子に迷惑かけっぱなしでもどうにもならない辺りただの性癖って気もしますが。
「少なくとも、ホラー映画は、やめて」
……選択肢減ってないって蓉子さん。
意地悪いなあ。
「葬送行進曲とか?」
「……ふざけてるでしょう」
付き合ってられないわ、とパソコンの画面に向き直ろうとする蓉子を慌てて止める。
まだ提出期限が一週間近くあるレポートなんかに蓉子を渡してなるものか。
「そうだ、蓉子が毎朝起こしてくれれば良いんだよ!」
今だって似たようなものだしさ!
回転椅子の上から私を見下ろす蓉子の目がなんだか剣呑なのには気づかないふり。
「いつもいつも私と時間が合うとは限らないじゃない」
「そんなときこそモーニングコール!」
携帯電話の本分! アラーム機能なんておまけよりずっと大事な本来の機能。
「……とにかく、駄目」
「どして?」
蓉子、私を起こすの嫌い?
意地悪く聞いてはいるけどちょっと不安になってくる。こういうことをしてくれるのが蓉子のわかりやすい愛情表現って感じで、多分お互いに実感できるひとときだったのに。
「あなたが私無しでは起きられなくなるなんて、駄目よ」
本当に悲しそうな顔は私のためを思ってくれてるんだな、ってなんとなく分かるけれど。
私がこれからずっと蓉子と一緒にいるのは確かなんだからこういう部分で甘えるのはいけないことなのかなあ、とやっぱり私は思ってしまう。
正解がないからどっちかが妥協するしかない、見つめあい。
……ああ、やっぱりその視線は、私には強すぎるよ。