日記

いわゆるオタクの趣味語り日記。百合とラノベが主食ですが無節操。書痴。偏愛に妄想、ネタバレや特殊嗜好まで垂れ流してますご注意。 本家は二次創作サイト。

その矢印の刺さる先

乃志前提、で聖に嫉妬な乃梨子SS。まあやってみたかったんですよシリーズ(笑)です。

令を挟んだ江利子と由乃は実に微笑ましく喧嘩してますが志摩子を挟むふたりって結構冷戦というかぐさぐさですよねえ。祥子は……なんか、むしろ祐蓉フラグ立ちそうだし?(えー)いや江由も聖乃も好きだけど!

……あ、祐巳を挟めば良いのか。

「可愛いなあ」

「馬鹿にしないでもらえますか」

「本気だよ?」

出来るならなるべくなら会いたくない人とふたりきり。

聖さまは物凄く煙草が似合いそうな恰好で私をからかう。私が未成年だから遠慮してるのかな、と考えてもみたけれど。多分頭の上がらないらしいあの人に止められているのだろう。一回志摩子さんの前でライターを出したときに思い切り睨みつけても聞かなかった人が、孫(しかし大変不本意な関係だ)に思いやりなんか覚えるものか。

「私は聖さまのような人は嫌いじゃありませんが」

前置きはただの前置き。にやつく上級生を今すぐ何かの魔法で消し去れるものなら是非ともそうしたい。選ぶなら塵ひとつ残らない攻撃魔法。

「志摩子さんのお姉さまとしては嫌いです」

「そ」

予期していたかのような返答。志摩子のことなら何でも知ってるよ、と、見せつけられているようで。理不尽な苛立ちが理不尽に募る。八つ当たりでしか、僻みでしかない黒い感情。

「私は乃梨子ちゃんが志摩子の妹で良かったって思うけどね」

ああもう最悪だ。この軽い声が、慈しみ、とやらを隠しながらもどうしようもなく感じさせる真剣な本音が、志摩子さんを私から遠ざける。いや、私ごとこの人のそばに引き寄せる。

「……嫌いです」

そんなに何度も言われると傷つくなあ、と、その実ちっともこたえてなんかいないくせに。

かなわないこの人が、この人でなければ良かったのに。神さまマリアさま亡くなられたご両親、私がけなすことすら許されない、羨むなんておこがましい存在だけが志摩子さんの中にいたなら、私は、ただ諦めるしか選択肢を与えられずに済んだのに。

悔しくて、悔しくて。笑う聖さまが私にすら優しい目を向けている現実を握り潰す勢いで、こぶしを握った。

自分の醜い嫉妬ばかりが、どんどんと私の上に降り積もる。黒髪の子、好きなんだから、なんて軽口すら、今の私にはただ重かった。