うわあ
何か色々間違えてますね……訂正は明日かな……。
久々に暗いというか微ダークというか何か破局してない? というか……。うちの聖はそろそろ誰かに撲殺されそうだ……。
「……蓉子!」
全身が汗でじっとりと濡れていた。ねばっこく気持ち悪い冷や汗、更にどっと溢れ引いていた血の気がゆっくりと戻ってくる。頭が割れるように痛い。がんがんと杭で打ちつけられる痛み。
「やだ、蓉子、……ようこぉ」
もうあなたはいない。私の隣で優しく笑って、怖がる私を撫でてくれた、癒し導いてくれた、黒髪の美しい少女はもういない。どうして私を置いていったの。ずっとそばにいてくれるって約束したじゃない。
「っく……うあぁ………」
うそ、本当はわかってる。あなたを切り捨てたのは私だって。あなたを傷つけて傷つけて傷つけきって、弄んでおいて放り出したのは、この私なんだって。思うがままに振る舞って、どんな言動も最後には許してもらって、あげくもう要らないってはねのけた。何度浮気を繰り返しても、夜に昼に気を失うまで蓉子を犯し続けても、自分が苦しむだけなら咎めなかったあなたは強くてそう私には強すぎて。
「よ、こ……」
あなたを思って泣く回数は、もうきっと栞より多い。ばいばい、とあなたの愛を踏みにじった時の傷ついた表情は、私を抉り込んで今も跡を残す。私が苦しんでるのがわかったから、蓉子はその表情にすら謝罪と赦しを乞うた。ごめんなさい、と折れそうに細い指が私に触り、呆気なく私を許してしまった。その華奢な体躯には不釣り合いなほど強靭な精神で、どんな重圧も耐えてしまった。
「会いたい、あいたいよ……」
いったい何処で、間違えてしまったのだろう。閉じこもりたがる私の背を押して。けれどいつも見守っていてくれて。優しく聡明な蓉子を私は何処で歪めて壊してしまったのだろう。いや、蓉子は私がどんなに傷つけても変わらず最後の最後まで優しくて聡明だったけれど。
蓉子の居場所を、私は知らない。彼女の実家に尋ねればあっさりわかるのだろうけれど、それは今の蓉子を知っていることにはならない。私が知らない蓉子になんて会えない。私をどう思ってくれているかわからない蓉子には、とても。
「……っく」
結局、私は、今も自分が一番に可愛いままで。今のこんな弱い私すら見透かして蓉子が来てくれたらなんて薄汚れた部屋で当てもなく思うばかり。かつては蓉子も住んでいた部屋。引っ越すのすら面倒でずるずると割高な家賃を払い続けている私に似つかわしくなってきたごみの溜まり場。
「はあ、はあっ、……あぁ………」
その真ん中で落ち続ける涙を止めることもできず、ちっぽけな私は。
「…………蓉子……」
おおきなあなたの名前を繰り返し呼ぶ。
私がそう言って突き放したからもう二度と私の前には現れないだろう、あなたを。