古傷がぐさりと
一足はやい五月病に苛まれてます。ネタとして申告できるうちはまだ大丈夫。そうそう。
先代三つ巴没ネタ。書きかけフォルダ整理してたら「そして」連呼で噴いたので日の目を見せてみる。
そしてわたしはうしなった。
いちたすいちがにになって、ぜろをかければなにもなくなる。そんなやさしい世界を、私は望んで、そして江利子は与えてくれた。今だって恋しい。疼痛はなくならない。強くなるのがこの季節なだけだ。
「泣かないで、よーこ」
「……」
泣いてなんかいないのに聖はそういって、私を抱きしめようとする。口実が泣ければ抱き寄せられもしないなんて、まるであの頃の私ではないか。
冬の聖を笑えないし笑わない。
干からびた有機体に突き刺さる虫ピンは、意外に小さく鈍い光沢も錆び付いていた。
粗悪品ね、と鼻で笑った江利子と、指先で繋がっていた私はばかみたいに愛されていたのだ。
「すきだよ」
けして口に出されたりなんかしなかったけど。
しなかったから。
だからくるしまないで。
聖の声が遠い季節が、今年もまた恐ろしくゆっくりと消費されていく。