七転八倒
諦めて中途で晒し。続いてるのかどうなのか。
聖蓉、ですが江蓉スメルもほんのりと。
「それで私のところに来たってわけ」
「……ええ」
辛辣な江利子。けれど本当に私が参ってるときは彼女は何も言わないから、無言で慰める手は今は私を嘲る紅茶を淹れているから、だから今の私は大丈夫だと。江利子という物差しで確認して小さく息をつく。安堵に限りなく近いそれを、馬鹿にした江利子は躊躇いなく切って捨てた。
「笑われて安心するなんて、変態ね」
「そうね」
こういうときに私は抵抗することばを吐かない。両者が承知しているから、皮肉の刃は丸まって慰撫に代わる。冷たいほど、ひどいほど楽になれる。どう繕ってもただの事実。寄りかかる私と支えない江利子。原因は聖だけれど、元凶は私。
今日の鎮静剤は、どうやらハーブティーだ。
「楽になるのは蓉子だけなのよ?」
知ってるわ。
お茶うけを手繰り寄せると江利子が鼻で笑う。心配の発露にも見えるその仕草を直視できない私は、一口大のクッキーを少しずつかじっては租借する。江利子とこうしてふたりきりになって、救われるのは私だけ。苦しむのはふたり、いや片方には寂寥か。割に合わない。不公平な天秤の歪みを正す役割は、いつもなら真っ先に引き受けるのに。
……だって、それは。