シャープ・エッジ
いつもの江蓉。
インプット側に比重が傾いてる感があるので潜り気味になるやも。アナログ媒体に書いた某ゲームのプレイ日記でも載せようか……。
無防備に明け渡された、その身体は、美しいと思う。
口にすれば蓉子は、江利子だってとか、あの子の方がだとか、濡れた唇を動かしては言うのだけれど。賛美を相対にする意味が私にはわからない。
褒め続ければ居心地が悪そうに身動ぎをする。触れ続ければとけていく。
思いつきというほど不意の衝動ではないけれど、する気告げる気があったわけじゃない。
我慢というまでの荷物でもなく、至極平穏に、その現実を受け入れていたはずの私は。
痕つけていい?
びくりと身を震わせた蓉子がこちらを向いて、怯えたように喉を鳴らすのを、とても近いところで見ていた。
……ごめんなさい
なぁに
泣き止んだのは、私の胸が濡れてすっかり冷たくなってから。
ぽんぽんと裸の肌に触れれば、伝わる呼吸の幅は緩やかに大胆に大きくなる。
まるで安堵したかのように。
私、江利子に甘えている
そうね
でもそれはあなたが謝ることじゃないわ。
頭上から囁きかければまた、震え。
とんとん、とんとん。誰かをあやしたことなんてない私の手は勝手に動く。いとも自然に。悲しみがなぐ。
横たえた不自然を境界にしてしまった私たちは。
えりこ、
わかってるわよ、ごめんなさいね
……あやまらないで
それならあなたも謝らないで。
こういう約束が糸になるのだ。傷つく未来を知って、結ぶちいさな繋がり。蓉子が息だけで笑う。
慰めようと唇をつけた。なめらかな素肌、見えない糸でたくさん傷ついた、美しい。
境界の上を滑っていく。