告白ごっこ
これがハロウィンでもいい気は割とします(笑)。
由令由令。下級生同色CPはどれだけ可愛く甘くしても許されるって信じてる。
「令ちゃん」
「え、何?」
「焼きすぎ」
「うっ」
太らせるつもり? とか聞いたら由乃はもうちょっと肉をつけた方がいいよとかこの従姉は真顔で言いそうだ。少しばかりしょぼくれた令ちゃんはそれでもちらちらとこちらを伺っている。おいしいことなんてわかってるんだから、急いで食べることもないじゃない。その態度に言い返したら本気でへこまれるかしら。
これってサディスト? ふと感じた疑問は写真と伝聞でしか知らない姉の姉にあたる予定の人の笑顔で押し潰された。それはもう一瞬で真空圧縮だ。ああもう、想像だけで腹が立つ。会ったことないけど! 会ったらもっと腹が立ちそうな気がしてるけど!
思わずわしづかんで口に放り込んだクッキーはココア味。紅茶がよく合いそうにほろほろと崩れていく。おいしい、のは勿論なんだけど、如何せん腹の虫が収まらない。
きっと睨みつけると途端に不安そうな顔をする令ちゃんに、見たこともない上級生への八つ当たりをひけらかすのも馬鹿馬鹿しくなって、おいしい、と叩きつけるように告げる。ついうっかりって奴だ。紅茶が飲みたいこないだ買ったあれがいいのねえ令ちゃん淹れてよ、まで心意気は一息で。
ぱっと顔を輝かせて(本当、単純なんだから)いそいそと準備に向かう令ちゃんを見ながらもう一枚つまむ。今度はプレーン、いやバニラか。まるい形のは多分ドライフルーツ入り。
私が一番、の令ちゃんにほんのり(しっかり)優越感を覚える悪い子は毒味と称して全種類ひとつずつつまんでいく。大好きなココアは全部もらっちゃおうかな。嬉しそうな令ちゃんの笑顔と一緒に。