告白ごっこ
令と江利子。ほんのり×というか→というか。
1年前に書いて、時間軸を盛大に間違えたせいでお蔵入りしてたのですがこれだけ改造すればなんとかなることに気づいて復活。
CPは由令と江蓉です。次の話から。
「お姉さまが、好きです」
前後の文脈も状況もすっ飛ばして唐突にそう言われて、平然とした顔で妹を見返せるくらいには私はポーカーフェイスに自信がある。
「由乃ちゃんの次にでしょう」
「……いけませんか」
「そんなこと言ってないじゃない。
私だって、令より自分が大切だし」
「……はぁ」
毒気を抜かれた顔。私で抜ける毒なんてまあ大概まともなものじゃない気がするのだけれど気のせいかしら。
「半身みたいなものでしょ、あなたにとっての由乃ちゃんは」
「半身、なんて」
恐れ多いです。なにより私と由乃じゃちっとも似てませんよ……!
上級生相手に声を荒げられない令は困った顔のまま。
言いつのる、食い下がる姿も外見に反して随分と可愛らしい。好き、と言い換えてもいい私の気に入り、は哀れなことに私流儀の愛され方をする。
「こだわらないの、どのみちくだらないことだわ」
「くだらない、ですか」
「そ。
しょせんただの言葉遊びよ」
結んで開いて、やあやとりよりはもう少し建設的かもしれない。
そんな比較自体くだらない、それだけのもの。
「大切なのはあなたが私を好きで、私があなたを好きだってこと」
「あ……」
「違う?」
「違いません!」
勢いの良さは流石黄薔薇ね、と、漏れそうになった笑みをおさえる。似ていない姉妹だと言われるのも構いはしないし、事実令が私に似ていたらたいそう気味が悪いだろうが、細かな繋がりにこじつけるのは悪い気分ではない。
「はい、万事解決。
じゃあやり直しね?」
「はっ!?」
「「お姉さま」相手に告白されてもあんまり嬉しくないわ」
「あ、そ、それは!!」
「言い訳するつもり?」
「うっ……」
頬を染め可哀想なくらい狼狽えているあなたを見るだけで、本当は充分なのだけれど。
言って安心させてしまって今後もうこんな可愛い顔が見れなくなってしまうというのも残念だし、ね。