(一応)聖蓉と祐瞳。
……終わらなかった! orz
この語り口をさせると、聖というより佐藤と呼びたくなります。昨日の続きです。
「どちらかといえば紅茶派だったけど、
珈琲ならブラックで、
緑茶は……まあ祐巳ちゃんでもない限り何か入れたりはしないだろうけど」
「グリーンティおいしいですよ」
「あーうん蓉子は好き」
「わぁ!」
おばあちゃんっ子は遠慮がない。
素敵ですね! の意味はいまいち分からないけど気にしたらいけないのだろう。たぶん。
「祥子の好みはよくわかんないよねえ」
「聖さま、失礼です」
今度はちゃんとぷくりと膨れる……かと思いきや口がアヒルになっただけだった。
しかもそのままココアに息を吹きかけている。なんでも血筋のせいにする気はないけど、(そもそも疑似だ、)猫舌なのは紅薔薇の伝統だよなあとしみじみ思う。祥子もその意味ではしっかり紅薔薇だった。それから蓉子のお姉さまも。
蓉子と似てるねって言ったら祐巳ちゃんはものすごく喜ぶだろう。反対に蓉子に祐巳ちゃんみたいって言っても、ちょっと眉を下げてからやっぱり嬉しそうな顔をしそうな気がする。祥子が混ざったって、勿論。
嫉妬心がまったく沸かないのはさて一体誰の人徳に依るものか。ココアに息を送るだけ送って、口をつけもしないままフォークを取った祐巳ちゃんはまるで恋でもしてるみたいに蕩ける笑み。向かう先はケーキ。
「……味わい深いねぇ」
私には適温な珈琲を啜る。ふぇ、何がですか、と祐巳ちゃんの顔が訴えている。
実際に口を動かさないのはひょっとしてものすごく成長したって言えるんじゃないだろうか。なんでさっきから祐巳ちゃんの今昔を比較してるのかわからないけど。
……懐かしさと嬉しさ、少しの感傷。