おなまえ
〈合計して僕〉ここのつめ/10
……しかし一体何回ピロートーク書くつもりだろう。
バランス悪いしいつか最中(笑)強化週間でもやるかなー……実は結構たまってるし……。……あとでSS詰め合わせに混ぜてごまかしとこうか物件が(苦笑)。
「……あんまり好きじゃない」
聖、って呼ぶのが好きなの、と私に囁いた蓉子はまるで宝物を見せるかのような表情で。こぼれあふれる笑顔にまっすぐありがとって返せない私はいつもどぽんと要らない石を落としてしまう。
「そう? 私は、結構気に入ってるわよ?
親がつけてくれた名前だもの。芙蓉のこども」
「蓮の化身?」
いやだ、そんな大層なもんじゃないわよ、ところころと笑う。私は私よ、と優しく私の髪を梳きその手の中で弄ぶ。
私の馬鹿な部分をあっさりのみこんでしまう。
「……大層なもん、にさせられた身にもなってよ」
私だってよく知りもしない奴になぞらえられたくなんかなかった。勝手な願望を押しつけられたくなんかなかった。
「そう?
でも、私は聖の名前が好きよ?」
蓉子は優しい。本気でそんなことを言ってしまえるくらいには優しくてまっすぐで。
「……自分じゃ変えられないのに」
「どうせ変えられないなら、好きになった方が得じゃない」
「……夢がない」
「何とでも。」
ふふん、と笑う蓉子にはやっぱりかなわない。悔しくて抱えた腕に少しだけ力を入れる。お返しのように鼻が摘ままれる。膨れるとすぐに解放。笑顔を絶やさない蓉子。
「……でも」
「ん?」
さらりと目の前を流れる黒髪に目を奪われ手を伸ばす。ふわりと舞う蓉子の匂い、蓉子の優しさ。
「私も、蓉子の名前は……、好きだよ」
「…ありがとう。
それじゃ、こうしましょうか」
「え?」
「私は聖のなまえが好きで、聖は私の名前が好き」
「だから?」
「だからどうって訳じゃないけど、私が好きなんだからそれで良いじゃない」
悪戯っぽく覗き込まれると私の頭はもうそれだけでぼうっとしてしまって。
蓉子は私の名前が好き、だから私が蓉子の好きなものをわざわざ嫌う必要もない。
……そういう解釈で、良いのかな?
「ね?」
暴論でも極論でも構わない。蓉子がくれるならきっとそれが正しい。ふたりっきりの約束事。
聖、と何度も何度も、飽きもせずに愛しげに呼んでくれる目の前の蓉子を了解代わりにぎゅうと抱きしめた。