(no subject)
「おはよう、聖」
「……はよー」
いかにも「まだ眠いです」という雰囲気を纏わせて、聖は思いきり欠伸をしている。珍しく後5分も出ずにもぞもぞと起きようとする、だから助けようと布団をはがすと小さく呻き声。もうそんなに寒くはない気がするのだけれど、聖は結構な薄着で寝るからだろうか。下手するとシャツもはおってないことがある。そんな状態で抱きついてきて、抵抗されたからって拗ねる方がどうかしていると思う。寒いのが苦手だから厚着しているのだ。せめて布団の中であったまってからにして欲しい。
昨夜の所業を思い返して溜め息をつくと、聖が見せるのはやっぱり拗ねたような顔。ちゃんと起きたじゃんかー、膨らんだ頬をつつこうと伸ばした手は捕まっていきなり甲に落とされる口づけ。してやったり、な表情が悔しいからそのまま顎をくすぐってあげた。目を細める様は猫そのものだ。つい、と抜き去って拭うように腰にその手を当てる。
「起きなさい」
「はーい」
目玉焼き冷めちゃうわよ、と残してひと足早くリビングへ。拭える訳がない右手に視線を送って、思わず頬が緩む。
洗い物は食べてからでいっか、と箸を並べた。確信犯が起きてくるまで、あともう少し。
同棲万歳。